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製造業で使われる「BOM(ボム)」とは?

公開日/更新日:2023.08.28

製造業の会社に入社したものの、分からない言葉が多くて困っていませんか?
“BOM(ボム)”も、その内の1つかもしれません。

「社内では耳にするけど、まだいまいち意味がわからない。」

そんなあなたに、この記事ではBOM(ボム)の意味や、どんな役割を担うものなのかを解説します。



BOMとは?

BOMとは“Bill Of Materials”の略で、「部品表」や「部品構成表」と訳されるのが一般的です。
製品の製造に必要な部品をまとめた表、と考えるとわかりやすいかもしれません。

ある製品を設計、製造する際に、必要な部品や数量を書き出します。
BOMがあることで、製品の構造や部品構成がわかりやすくなるのです。

BOMは大きく「PN(Parts Number)」と「PS(Part Structure)」の2つに分けられます。

PNは“品目情報”を表し、製品にどのような部品が使われているかを一覧で示します。
PSは“構成管理情報”を表し、PNに書かれたそれぞれの部品がどのような関係になっているかまで把握できるものです。



BOMを作成する目的


BOMを作成する大きな目的は、BOMを中心として、製品の情報を一元管理することです。
これまで製品の情報は、設計部門や製造部門、生産管理部門など、部門が変わると細かい部分は共有されていない点が多くありました。

設計部門が図面を作成し、製造現場に図面を渡して加工が始まるものの、実際にどのような部品を使うのか、どのような手順で加工していくのかは、それぞれが持つノウハウに頼り、属人化してしまっていた部分があったのです。
しかし、BOMを作成することで、それらの情報を見える化し、どの部門からでも同じ情報を共有できるようになります。



管理方法別のBOMの種類

BOMは管理方法によって、サマリー型とストラクチャ型の2つに分けられます。

サマリー型

部品や材料が一覧で表示されているタイプです。
製品に必要な部品の総数が把握できるため、簡単に管理できます。
また、仕様が変更になったり、部品が追加になったりしたときも、それぞれの項目に追記・修正するだけで良いので、柔軟な対応が可能です。

ストラクチャー型

サマリー型が、部品を一覧で表示しているのに対して、ストラクチャー型は製品の構造を踏まえて、階層ごとに必要な部品を記入していくタイプです。

ストラクチャー型のBOMを使用することで、製品が完成するまでの流れに沿って、必要な部品が把握できるため、中間工程の多い製品を作成する際に向いています。
製品それぞれの工程や工数、リードタイムをあらかじめ計算するのにも役立つでしょう。



用途別のBOMの種類

BOMは用途別にもいくつかの種類に分けられ、代表的なものとしては、E-BOMとM-BOMが知られています。

E-BOM(設計BOM)

E-BOMは、設計部門で使用されるBOMのことを指します。
Eは「Engineering:設計」から由来しており、製品に必要な部品や数量などが書かれています。
設計していく中で、その製品に必要な部品なども決まってくるため、設計作業と同時並行で作成されるのが一般的です。
部品情報に加えて、製品の仕様や求められる技術レベルなども記載していきます。

M-BOM(製造BOM)

M-BOMは、製造部門で使用されるBOMのことを指し、Mは「Manufacturing:製造」から由来しています。
設計部門が作成したE-BOMだけでは、必要な部品は把握できても、実際の加工手順などはわからないため、製造部門は使いにくさを感じてしまうのです。
そのため、E-BOMに工程や手順など、実際に製造する際に必要な情報を追記して使用します。

その他のBOMでも様々な管理を

このように、E-BOMとM-BOMがBOMの中ではよく知られていますが、販売支援のための「S-BOM(Sell-BOM)」や、部品を調達する際に使用する「購買BOM」など、その他にもたくさんの種類があります。

共通するのは、「必要な部品が一覧でわかりやすく記載されている」という点です。
図面だと製品の全体像などはわかりますが、細かい部品などは把握できないこともよくあります。

そんなときに図面と併せて、BOMを使用することで、全体と詳細の両方が見えやすくなるというメリットがあるのです。



BOMの管理にはシステムを使うのも1つの手

BOMは、これまで紙やExcelで管理されるのが一般的でした。
しかし、必要なときに最新の情報に更新されていなかったり、検索がしにくかったりして、各企業ではうまく管理できていないことがありました。

近年では、そんなBOMを管理できるようなシステムもたくさん提供されています。
システムによっては、部品管理だけでなく、在庫管理までできるようなものもあります。
社内の情報共有をさらに円滑に行うために、BOMの管理にシステムを導入することも検討してみましょう。



まとめ

BOMは、製品をつくるために必要な部品や工程を管理するために必要な一覧表です。
図面と併せて運用することで、製品の全体像と詳細部分を社内で共有することができます。

ただし、管理方法や用途に応じて、種類がいくつかに分かれるため、自社の仕事の流れを把握したうえで、効果を最大化できるBOMの作成・管理を心がけましょう。