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製造業がヒヤリハットを減らすには?ハインリッヒの法則に注目!

公開日/更新日:2023.05.15

製造業における重大事故は、突然発生するわけではありません。
実は、そこに至るまでにたくさんの前兆があります。

その代表と言われるのが、“ヒヤリハット”です。
ただ、単語だけ言われても、いまいち意味が思い浮かばないかもしれません。

そこで、この記事では、そもそもヒヤリハットとは何なのかを解説し、事例を紹介しながら、ヒヤリハットが発生する原因や減らすための工夫をお伝えします。

自社での事故を減らすためにも、ぜひこの機会に覚えていってください。



ヒヤリハットとは?ハインリッヒの法則との関係

ヒヤリハットとは、日々気付かぬうちに発生しているミスや違和感のことを指します。
一見、外国語のように感じますが、実は「ヒヤリとする」「ハッとする」といった日本語が由来の言葉です。

ちなみに、あなたは“ハインリッヒの法則”を聞いたことがありますか?
アメリカの損害保険会社で働いていたハーバート・ウィリアム・ハインリッヒが、1930年ごろに5,000件にも及ぶ労働災害を調査して提唱した法則で、“1:29:300の法則”とも呼ばれています。

「1件の重大事故が起こる前に、29件の軽微な事故が起こっていて、さらにその前には、300件の目に見えないヒヤリハットが発生している」と考えられているのです。

しかし、見方を変えると、ヒヤリハットの数を減らせば重大事故の発生も減ると言えるでしょう。
そのため、日々のヒヤリハットを見逃さないようにすることが大切なのです。



ヒヤリハットの事例を紹介


ヒヤリハットと聞いて、具体的な場面が思い浮かびますか?
ここでは、町工場でよく発生するヒヤリハットの事例を2つに分けてご紹介します。

重い物を落とす

事例:旋盤加工を行う際に、手袋をつけずに材料の鉄を運ぼうとしたら、すべって足元に落としてしまった。

問題:鉄などをはじめ、金属の材料は非常に重く、万が一足に落としてしまったり、床に落ちるのを防ごうとして手でかばおうとしたりすると、大けがにつながりかねません。
すべらないゴム製の手袋をつけて運ぶ、クレーンなどを使って人の手で運ばないようにする、などの対策を心がけましょう。

工場内で転倒する

事例:工場内を移動しているとき、片付けるのを忘れていた工具につまづき、転倒してしまった。

問題:工場の中には、機械や工具などがたくさんあります。
転倒した際に誤って頭や体をぶつけてしまうと、これも大けがにつながる可能性があります。
日ごろから工場内の整理整頓を心がけ、歩く導線上には物を置かないなど、ルール遵守を徹底しましょう。



ヒヤリハットが発生する5つの原因

そもそもヒヤリハットが発生するのはなぜでしょうか?
ここからは、ヒヤリハットが発生する原因を5つに分けてご紹介します。

知識・認識不足

作業に関する知識や経験が足りない、自社の生産の流れを知らないといった状態だと、気付かぬうちに危険な行為を行っている可能性があります。
特に、新入社員の方などの動きには注意が必要です。

慣れによる油断

実は、新人の方よりも多いのがこちらです。
仕事や会社の雰囲気に慣れてくると、人はどうしても油断してしまいます。
しかし、その油断が最もヒヤリハットが発生する原因になるのです。
「自分はもうミスしない」「少しぐらいなら大丈夫」と思わず、経験があるからといって手を抜いたり、効率を求めて必要な手順を省いたりしないようにすることが大切です。

情報共有不足・コミュニケーション不足

聞き間違いや認識違い、または連絡不足などがあると、通常の手順とは異なる作業を行い、ミスにつながる可能性が高まります。
「上司と部下」という関係だけでなく、同僚などの横のつながりにおいても、報連相を徹底することが重要です。

疲れ

長時間仕事していると、どうしても体は疲れてきます。
そうなると、体が思い通りに動きにくくなってくるものです。
また、正常な判断もできなくなってくるため、ヒヤリハットの発生率が高まります。

混乱・焦り

何かがきっかけで一度混乱してしまうと、自分では考えてもいなかったような行動を取ってしまうことがあります。
判断力も鈍るため、普段慣れている作業でもミスしやすくなるため、注意が必要です。
トラブルが発生したときなども、まずは一旦落ち着くことを心がけましょう。



ヒヤリハットを減らすための3つのポイント

ここまでヒヤリハットの事例や発生する原因を説明してきましたが、ヒヤリハットは必ず減らせるものです。
最後に、ヒヤリハットを減らすための3つのポイントをご紹介します。

報告しやすい仕組みづくり

ヒヤリハットを減らすために最も大切なのは「報告」です。
どのようなヒヤリハットが発生したかを、その日の内に報告してもらうようにしましょう。
ただし、ヒヤリハットについては、報告をしたがらない従業員が多いのも事実。
なぜなら、小さなミスや不注意は、自分に原因があると思われるのでは…と考える人がいるからです。
あとは単純に毎回報告するのは面倒だと感じる人もいるため、報告用の簡単なフォーマットを作る、積極的にヒヤリハットを報告すると報奨金をもらえる、といった社内の仕組み作りが大切になります。

原因と対策を何度も確認する

報告を受けても、それで終わりにしてしまっては意味がありません。
なぜそのようなことが発生したのか、どうすれば次に同じようなことが起こらないのかを、検証することが重要です。
これは現場のスタッフだけに任せるのではなく、管理職などの現場以外の立場の社員が一緒に考えることで、客観的な対策方法を見出せるようになります。
根本的な原因を解決することを意識しましょう。

定期的に情報共有して意識づけを行う

原因と対策が判明したら、その内容を共有し、実際に現場で運用していくことが求められます。
些細なミスや間違いは、誰しもが忘れてしまうものです。
定期的に情報共有を行い、「再発防止」の意識を全従業員で高めていきましょう。



まとめ

製造業における事故は、起こったあとに対処するのではなく「起こさない」ようにすることが非常に大切です。
そのためにも、ハインリッヒの法則を意識して、日常のヒヤリハットを減らしていかなければなりません。
今回紹介した内容を踏まえて、あなたの会社でも安全に従業員が働ける環境を作っていきましょう。