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多能工とは?導入するにあたって知っておきたいポイントを紹介!
最近では、少子高齢化に伴う人材不足に頭を悩まされている企業が増えています。
その数少ない人材の能力を有効活用するため、「多能工」を育成しようと、製造業を中心に多くの企業が「多能工化」を取り入れているのです。
人材不足の解消はもちろん、働き方改革にもつながるであろう「多能工」について、メリットやデメリット、導入する際に知っておきたいポイントを紹介します。
多能工とは?
1人で複数の業務・作業ができる人材のことを「多能工」といいます。
これは元トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)副社長の大野耐一氏が考案したもので、現在では数多くの製造業で取り入れられています。
かつてのトヨタでは、常に特定の作業を同じ人が担当していましたが、これではある作業員は忙しくしている一方で、別の作業員は時間を持て余す状況ができてしまい、大野氏は時間と労働力を無駄遣いしていると感じました。
そこで思いついたのが多能工です。
多能工を増やせば、忙しい業務に従業員を集めることで生産スピードを上げられます。
また、従業員にかかる負担を分散することもできます。
ちなみに、多能工に対し、1つの業務に対して深い知識を持つ人材を「単能工」といいます。
多能工化のメリット
多能工を育成することを「多能工化」といいます。
ここからは、多能工化を進めることのメリットを3つ紹介します。
業務量が平準化される
多能工化することで、それぞれの人材の業務を平準化することができます。
例えば、生産ラインでトラブルが起きたとしましょう。トラブルによって人員確保が急に必要になっても、多能工であれば誰でも対応することが可能です。
そのため、トラブルによって誰か1人に業務が偏ることはありません。
業務が平準化されれば、同じ人数でも業務が分散されるため、作業完了までの時間を短縮できます。
また、残業が少なくなることも期待できるでしょう。
チームワークが強化される
チームワーク強化できるのも、多能工化のメリットです。
多能工化によって様々な業務・作業を担当することになるため、他の人と協力して作業するようになります。それによって自然と連帯感が生まれ、チームワークが強化されるのです。
また、お互いで作業や進捗状況を確認しながら進められるため、対立やストレスをためるリスクも減らせるでしょう。
製造業では全員で製品を作り上げるため、組織としての統一感は欠かせません。
多能工化を図り、普段からコミュニケーションを取り合うことでチームワークを強化できるのです。
リスク管理につながる
多能工化することで、業務のリスク管理ができます。
例えば、単能工の従業員が集まる職場で誰かが休んだとしましょう。
その業務はその人にしかできないため、業務がそこでストップしてしまいます。
しかし、多能工が集まる職場であれば、もし誰かが休んだとしてもその業務は他の誰かが代わりに担当できます。そのため、作業がストップしてしまうことはありません。
多能工化することで、製品の生産を安定的に進めることができるのです。
多能工化のデメリット
多能工化を進めることには、デメリットも存在します。
ここからは、多能工化のデメリットを3つ紹介します。
育成に時間がかかる
多能工化することのデメリットとして、従業員の育成に時間がかかることが挙げられます。
覚える知識・業務が複数、複雑であればあるほど、育成には時間や労力がかかってしまいます。
この点については、長い目で根気強く続けていくしかありません。
従業員の得意・不得意も考慮しながら、任せられそうな業務を少しずつコツコツ教えていくことがポイントです。
評価制度を確立する必要がある
多能工化を進めるには、評価制度を確立する必要があります。
多能工は、どうしても覚える知識・スキルが多くなるため、一人一人の負担が大きくなってしまいがちです。
負担ばかりが増えて評価されないのでは、モチベーションの低下につながりかねません。
対策として、複数の業務を担当する多能工ならではの適切な評価制度を確立することが必要になるでしょう。
モチベーションの維持が難しい
モチベーションの維持が難しいのも多能工化のデメリットです。なぜなら、多能工を育成するとなると、入社したときの条件(業務内容)とは異なる業務もやってもらうことになるからです。
企業の都合に合わせて多能工に業務を任せてしまうと、従業員のモチベーションを維持することが難しいでしょう。多能工化を進めるときには、評価制度や目的など、従業員としっかり共有していくことが重要です。
多能工化を進めるためのポイント
多能工化を進める際は、以下の4つのステップに沿って進めましょう。
【1】既存業務を整理する
まず既存の業務を洗い出し、属人化している業務、人手が足りていない業務などをメインに優先順位を付けます。
【2】業務を見える化する
無駄な作業がないかを確認し、誰でもその業務ができるように業務を見える化します。
【3】育成計画を作る、実施
育成計画を作る際には、「誰が何をするか」のほか、「どのタイミングで何を学んでもらうか」など、基準を細かく定めることが重要です。
育成計画を立てたら、実際に実施していきましょう。
【4】評価を行う、定着させる
育成の進捗や、問題点の有無を振り返ります。
このとき、偏った負担がかかっていないかなど、従業員とコミュニケーションを取りながら確認していくことが必要になります。
おわりに
多能工化は、育成計画や評価制度を確立し、従業員とのコミュニケーションを密に取るなど、慎重に導入することが求められます。
しかしうまく導入できれば、人材不足を解消できるだけではなく、業務の平準化、チームワークの強化やリスク管理など製造業においてさまざまな効果を期待できます。
ぜひあなたの会社でも多能工化を取り入れてみてはいかがでしょうか。