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ISO9001とは?取得するメリット・デメリットを紹介!

公開日/更新日:2023.04.05

工場の前を通りかかった際に、建物に“ISO9001”という文字が書かれているのを見かけたことはありませんか。
ISO9001は簡単に言うと、世界的に品質面が認証されていることを表し、この認証を得られると、信頼性が高まるため、製造業を含めた多くの企業が取得しています。

ただ、あなたは「時間や手間をかけてまで、ISO9001を取得する必要はあるのだろうか」と悩まれているのかもしれません。
そこで、この記事では、そもそもISO9001とは何を表すのか詳しく解説し、取得することでどのようなメリット・デメリットがあるのかを紹介します。



ISO9001とは?

まずは、ISO9001が何を表すものなのかを説明します。

そもそも“ISO”とは?

ISOとは、“国際標準化機構(International Organization for Standardization)”の略称で、英語表記の頭文字をとって“ISO”と呼ばれています。
スイスのジュネーブに本部を置く非政府機関で、1947年に発足し、現在では日本を含む160ヵ国以上の国々が参加しています。

ISOの主な活動は、製品やサービスを世界で同じ品質で提供するために、“ISO規格”と呼ばれる国際的に通用する規格を作ることです。
ISO規格は、工業製品はもちろん、食品や農業、医療などにもあり、取得することで国際的な基準を満たしていることが対外的にもPRできるため、自社の信頼につながります。

ISO9001は品質マネジメントの規格を表す

ISOには様々な種類のものがありますが、その中でもISO9001は、品質規格マネジメントのことを表します。
言い換えると「顧客満足度を高める品質を満たすのに必要な国際的な基準」と表現することもできるでしょう。

企業は基準やルールがあることで、組織として統一した品質の製品を生産できるようになります。
例えば、従業員が数名しかいない企業であれば、特段ルールなどを設けていなくても、責任者が目の届く範囲で管理が完結するでしょう。

しかし、従業員数が数百、数千といった単位になってくると、一人でそれぞれのやり方を管理することは難しくなります。
そこで、ルールを設けることで、統一のオペレーションが可能になるのです。

ISO9001は品質管理の面における国際的な規格であるため、認証を受けた企業は国際的な基準に沿った品質管理を行っていることが証明できるわけです。



ISO9001の取得にはデメリットもある?


ISO9001の取得を考えたときに「めんどくさい」「デメリットが多い」と聞くことも多いかもしれません。
そこで、メリットの前に、まずはどのようなデメリットがあるのかを紹介します。

取得には大量の書類や記録が必要

ISO9001を取得するためには、大量の書類作成や、それらの記録が必要になります。
書類の例としては、

  • 品質マネジメントの適用範囲
  • 品質方針
  • 品質目標
  • 組織図
  • プロセスマップ
  • 手順書
  • 仕様書

などが挙げられます。

これらの書類作成を普段の業務外で行う必要があるため、作成者の負担は避けられません。
また、これとは別に、生産スケジュールや製品試験の結果、品質マニュアルなどの書類も保管しておく必要があります。

取得後も審査がある

ISO9001は、取得した後も維持や更新のために毎年審査を受ける必要があります。
有効期限は3年ですが、取得の翌年と2年後には“維持審査”を、3年後には“更新審査”を受けなければなりません。
その度に審査費用がかかるうえ、維持・更新の審査の度に書類を作成する必要があります。

それにより業務を圧迫することも考えられるため、生産性向上や企業の信頼を得ていくうえで自社に見合っているのか、考える必要はあるでしょう。



ISO9001を取得するメリットは?

デメリットだけ見ると、ISO9001を取得する意味がないように感じるかもしれませんが、企業にとって、国際的な規格を満たすことには当然大きなメリットがあります。

品質マネジメントのシステムを確立できる

ISO9001を取得する一番のメリットは、品質マネジメントのシステムを確立できる点です。
工程ごと、作業ごとにマニュアルが整理されていれば、人が変わっても、同じ品質の製品を生産できるようになります。

また、業務ごとに責任や権限を明確にしておくことで、トラブルが起きた際、現場の混乱や責任がたらい回しにされることを防ぎ、解決しやすくなります。
このように、社内の品質管理を統一するきっかけになることは、ISO9001を取得する大きなメリットなのです。

会社としての信頼が高まる

ISO9001を取得することは、自社の製品の品質が国際基準を満たしていることを認められた証になるため、会社としての信頼が高まります。
同じような企業が2つあった場合、品質や安全性を重視する企業は、取引先としてISO9001を取得している企業を選ぶでしょう。
ISO9001を取得すると、ロゴマークをホームページや名刺に掲載することができるので、積極的にPRしていくことも可能です。

生産性が高まる

ISO9001を取得することは、実は生産性向上にもつながります。
なぜなら、認証を取得する際には第三者機関の監査を受けるため、業務の改善点を発見できるからです。
ISO9001の審査は書類だけではなく、立ち入り検査を行い、ルールがあること、それに基づいて作業していることが確認できなければ認証されません。
そのため、審査の段階で自社の様々な課題を発見できるのです。
見つかった課題を改善し、新たなマネジメントシステムを作り上げることで、生産性が高まっていきます。



おわりに

ISO9001を取得しておけば、会社としての信頼性が高まるため、初めてのお客様ともスムーズに取引を進めやすくなるでしょう。
社内の体制が整っていない場合は、マネジメントを確立させる一環としても、取得をめざしてみてはいかがでしょうか。

ただし、ISO9001は、取得する際はもちろん、その後の継続審査などでも書類作成や記録の保存などの追加業務が発生します。
そのため、従業員の負担などを考慮しながら、取得を検討することが大切です。

ISO9001に関しては、コンサルティングなどの専門家なども多くいるので、自社だけではどうしても対応できないと感じたら、プロに相談してみるのも良いでしょう。