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マシニングセンタとは?フライスとはどんな違いがある?

公開日/更新日:2023.05.31

金属加工を行う製造業では工作機械の自動化が進んでおり、“マシニングセンタ”が多くの現場で活用されているのも、その一例です。

ただ、できることはフライス盤と似たようなイメージがあるマシニングセンタ。
「具体的な違いやマシニングセンタ特有のメリットを説明してください」と言われると、少し難しく感じるのではないでしょうか。

そこで、この記事ではマシニングセンタとフライス盤との違いや種類、メリットを紹介します。



マシニングセンタとは

マシニングセンタとは、人の手を使わずに数値制御などのプログラムによって加工を行うNC工作機械の1つです。
フライス加工・穴あけ・ねじ立て・中ぐり加工・リーマ加工などを全て1台で行えます。

また、マシニングセンタには自動で工具を持ち替える“自動工具交換装置(ATC)”がついており、あらかじめ必要な工具をセットしておくことで、自動で工具を交換してくれる特徴があるのです。



マシニングセンタとフライスの違い

マシニングセンタとフライスの大きな違いは、先ほど紹介した自動で工具を持ち替える“自動工具交換装置(ATC)”の有無です。
汎用フライス盤やNCフライス盤では、加工する際、工具を1本しか取りつけられません。
そのため、別の加工を行う際には、人の手で工具を交換する必要があり、その度に機械を止めなければなりませんでした。
しかし、マシニングセンタには自動工具交換装置があるため、人の手で交換するのに比べて時間を削減することができ、フライス盤と比べると生産性が大きく向上するのです。



マシニングセンタの種類

マシニングセンタにはいくつか種類があります。
ここでは、代表的な4種類のマシニングセンタを紹介します。

立型

マシニングセンタは回転する主軸に工具を取り付けて使用します。
この主軸と工具が地面に対して垂直方向のものを「立型マシニングセンタ」といいます。
立型マシニングセンタは、素材を上から削るため切削状況を確認しやすく、図面と見比べながら加工できるのが特徴です。

ただし、他の型に比べるとコンパクトで設置しやすい一方、切りくずが排出されにくく、大量生産には向きません。
一面のみの加工を行うような金型生産で主に使用されます。

横型

主軸と工具が地面に対して並行方向のものを横型マシニングセンタといいます。
横型は切りくずが排出されやすく、残った切りくずによって素材や工具を傷つける心配はありません。

また、素材供給や製品搬出ができるパレットチェンジャーを設置すれば、連続稼働による大量生産も可能です。
一方、横から素材を固定するため、工具が変形する可能性のある重い素材の加工には向きません。

門型

門型マシニングセンタとは、門のような形が主軸を支えており、立型と同じように主軸と工具が地面に対して垂直方向のもののことをいいます。
手前から奥方向に長く動かせるため、他のマシニングセンタのテーブルには乗らない大きなものや長いもの、重量のあるものの加工に向いています。
門型マシニングセンタを使うものの例として、航空機や船舶の部品などが挙げられます。

5軸制御

5軸制御マシニングセンタは、通常のマシニングセンタに搭載されている前後方向、左右方向、上下方向の3軸の他に、回転軸を2つ加えた5軸を制御することで複雑な加工を行えるようにしたものです。
回転軸が増えたことで、固定している面を除いた5面に対して加工を行うことや、複雑な形状の加工を行うことができます。

ただし、軸が増えることでプログラミングの難易度が上がるため、使いこなせるようになるためには、他の機械に比べて時間がかかることを注意しておきましょう。



マシニングセンタを使うメリット

マシニングセンタを使うことで、手動での加工に比べてどんなメリットが得られるのでしょうか。
最後に、マシニングセンタを使うメリットを2つ紹介します。

生産性が向上する

マシニングセンタを使うメリットとして、生産性向上が挙げられます。
マシニングセンタは工具の交換を自動で行うため、人の手で行うのに比べて時間短縮が図れます。
また手動での加工は、人によって精度にばらつきが出る可能性がありますが、マシニングセンタでの加工では、数値制御によって機械が加工してくれるためばらつきが出にくくなります。
高品質のものを安定して作ることができるため、生産性の向上につながるのです。

コストを削減できる

生産性が高まることは、そのままコストの削減にもつながります。
精度の高いものでも、不良が出る割合が低くなるため、無駄な生産コストがかからなくなるのです。
また、マシニングセンタは、加工も工具の交換も全て機械が行ってくれるため、人件費や育成コストの削減、作業時間の短縮が期待できます。

このように、マシニングセンタを使うことで、生産性コスト削減も実現することができるのです。



おわりに

マシニングセンタはフライス盤とは異なり、自動で工具を交換してくれる機能がついているため、導入することで生産性は飛躍的に向上するでしょう。
また、5軸制御マシニングセンタの普及など、マシニングセンタは種類も様々で、時代に合わせて進化を続けています。

定期的に自社の機械の状況を振り返り、必要があれば新しい機械を導入するなど、積極的に生産性の向上やコストの削減に意識を向けていきましょう。