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CADとは?今さら聞けない基礎の基礎を解説!

公開日/更新日:2024.04.03


建築関連や自動車関連、機械関連の仕事ではよく「CAD」という言葉をよく耳にするかもしれませんが、そんなCADのことを詳しく説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか。
そこで今回は「CAD」がどういうものかを解説したうえで、種類や使用用途などを紹介します。



CADとは?

「CAD(キャド)」は「Computer Aided Design」の略で、日本語では「コンピュータ支援設計」と訳されます。
手作業で行われていた設計作業をコンピュータによって支援し、効率や正確性を高めることを目的に開発されました。
図面の作成が容易になる、手計算が省略できるなど、そのメリットはさまざまです。
また、コンピュータが持つデータから寸法を記入することでミスを減らせるなど、作業効率や正確さの観点から、CADは製造現場において欠かせないものだと言えるでしょう。



2D CADと3D CAD

CADソフトには平面情報を扱う「2D CAD」と立体情報を扱う「3D CAD」があります。
それぞれ利用できる機能が異なり、お客様のニーズと自社の環境に合ったCADソフトを導入しなければなりません。

2D CAD

2D CADは、コンピュータで平面図面の作成・管理を行うソフトウェアです。
幅広い分野をカバーできる汎用ソフトと各分野の用途に特化したソフトがあり、建築・建造分野をはじめ、自動車設計・インテリアデザインなど幅広い分野で普及しています。

2D CADは、縦・横の2軸の視点から見たときの形状を図面として表現するので、細かい作図ルールがあります。
さらに、作成した平面図を基に頭の中で立体を組み立てながら、加工方法などを決めていかなければなりません。

そのため、2D CADを使いこなすためには、作図ルールを理解する力と図面情報を正しく読み取る力が必要になるのです。

3D CAD

3D CADは、平面図面情報をコンピュータ上で3次元に拡張し、コンピュータ上の仮想空間で立体的に構築します。
立体的に作成することで、より具体的でイメージが鮮明に伝わるメリットがあります。

また、試作品を製作する際、コンピュータ上で解析を行うことができるため、作業時間の短縮が可能です。
3D CADは立体図面の作成ができるだけでなく、体積・質量・表面積・重心などの算出も役割を果たし、解析やシミュレーションなども行えることが特徴です。



CADでできること

さまざまな分野で活用されているCADは、主に次のようなことができます。

図面作成

CADは手書きでは伝えにくい複雑な形状や面積・体積などを正確に表わすことができます。
寸法は設計する時点で計算されるため、すべて記載する必要がなく、作業時間の短縮につながるのです。
また、近年は図面を作成せず3Dモデルだけで設計を完了する「図面レス設計」も増えており、さらなるリードタイムの削減が期待されています。

加工用のデータ作成

使用するCADソフトによっては、CAM(キャム:Computer Aided Manufacturing)ソフトの機能が付いています。
CAMとは、CADで作成した図面を基に工作機械での加工に必要なNC(数値制御)プログラムなどを作成するツールのことです。

例えば、資材切断や穴あけ加工などの加工工程やパスの自動生成ができます。
CAM機能を使えば、複雑な形状や工程の加工品の加工プログラムを簡単に作成が可能になり、人為的ミスの削減や作業効率アップにつながります。

解析・シミュレーション

最近のCADソフトには、CAE(シーエーイー:Computer Aided Engineering)と呼ばれるCADで作成した設計図に問題がないかを解析するツールが備わっています。

これまでは、完成した設計図を基に試作品を製作しテストを行っていました。
テスト時に問題が発覚すれば、再設計や再テストを行わなければならなかったので、時間とコストがかかり効率がよくなかったのです。

CAE機能を活用すれば、実際にテストをした場合とほぼ同等のシミュレーションが可能になるので、コスト削減や作業時間短縮を実現できます。

情報管理・共有

CADはデータの共有や情報管理にも役立ちます。
紙図面が主流だと、社内での持ち運びや関係者への図面印刷や配布、社外への郵送など手間のかかる作業に時間を多く費やす必要がありました。
他にも、設計変更が発生するたびに図面を書き直すことになるので、大量の紙図面を管理する必要があったのです。

しかし、CADではコンピュータ上のデータやファイルを表示・閲覧するための仕組みを持っていれば、誰でも同時に図面を見ることができます。
これにより社内外でのデータの共有や設計変更の履歴、修正箇所などの情報管理が可能になり、社内の業務効率化につなげていけるのです。



おわりに

CADは、今回紹介したような「図面作成」、「加工用データ作成」、「解析・シミュレーション」、「情報管理・共有」ができるなど、多くの産業や分野で活用されています。
その機能性の高さから、今後も多くの場面で使われることが予想できるでしょう。
顧客のニーズや利用目的にあったCADソフトを導入することで、作業効率と顧客満足度の両方を高めていけるでしょう。
まずはCADの特徴を理解し、自社に合った活用方法を見出していきましょう。