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表面処理とは?どんな種類があるのか教えて!

公開日/更新日:2023.09.21

「表面処理」と一言で言っても、その種類は多岐にわたります。
そのため、あなたもそれぞれの詳細については、すべて理解しきれていないかもしれません。
そこで、今回は表面処理の目的や種類などを解説していきます。
表面処理についての基礎知識を身につけるうえで、ぜひ参考にしてみてください。



表面処理とは?

表面処理とは、研磨や塗装、めっき、熱・化学処理などの方法で金属の表面を処理加工することを指します。
金属を加工する際、まずは切削加工などで図面通りに形を整えることが一般的です。
その後、削っただけでは粗い部分をこすって綺麗にしたり、表面がさびないように表面をコーティングしたりする工程全般を表面処理と呼ぶのです。



表面処理するのは何のため?

表面処理を行う理由はさまざまなものがありますが、ここでは大きく2つの理由を紹介します。

表面を保護するため

まず1つ目には「表面を保護する」という理由が挙げられます。
金属は単体では耐久性が弱く、ちょっとした不注意で傷や錆などがついてしまう恐れがあるのです。
そのため、コーティング材や、素材で使った金属よりも強度の高い金属を上から塗り、表面を保護することで、製品の品質を高めていきます。

見た目を整えるため

もう1つの理由には「見た目を整える」というものがあります。
先ほども少し説明したように、金属を加工する際、まずは旋盤やフライスなどで切削するとしましょう。
しかし、それだけでは粗い部分が残ることも多く、切削後に表面をこすって綺麗にする“研磨”という工程を実施します。
また、単純に見た目の良さを高めるために、“塗装”して色をつけることもあるでしょう。
このように、製品の見た目を整える目的で行われることも表面処理の1つなのです。



表面処理の種類と特徴

表面処理にはさまざまな種類があり、金属の種類や製品用途などによって相性の良い処理方法を見極めなければなりません。
ここでは、主な表面処理の種類と特徴について説明していきます。

めっき

「めっき」とは、金属やガラスなどの材質に金属の薄い膜を覆わせる方法です。
錆を防いだり見た目を良くしたりするだけではなく、熱特性、摩耗性、電気特性を持たせることができます。
使われる金属は、主に「金・銀・銅・ニッケル・クロム」などがあり、手法もさまざまです。

ここでは代表的な手法と特徴を3つ紹介します。
▶︎電気めっき:素材をメッキ液に漬け、電気で金属皮膜を作る方法です。安価、かつ高速でめっき処理できるため幅広く活用されています。
▶︎無電気めっき:化学反応のみで金属皮膜を作る方法です。絶縁性素材のめっきに使用されています。
▶︎真空めっき:真空中で金属を蒸発させ、素材に堆積させる方法です。均一性が非常に優れています。

アルマイト

「アルマイト」とは、アルミニウムの表面を陽極として電解処理させることによって酸化膜を生成させる表面処理です。
アルマイト処理は変色や腐食を防ぐだけでなく、硬度や耐摩耗性の向上、熱伝導率の低下、絶縁性の強化などのメリットがあります。

また、酸化膜の孔に塗料を入れることによって、カラーバリエーション豊かな“カラーアルマイト”を作ることができ、見た目の美しさも高められます。

なお、アルマイト処理で使用される金属は、アルミニウムやアルミニウム合金が適切ですが、高温環境では相性の良い金属でもアルマイトにひびが入ってしまうので注意が必要です。

塗装

「塗装」は、材料の表面に塗料を塗り、乾燥させて色を付着させることを指します。
塗装することで錆を防ぐ、見た目を良くするなど、製品の付加価値を高められるのです。
塗料にはアクリル樹脂、シリコン樹脂、ウレタン樹脂などたくさんの種類があり、その中でも水溶性塗料、油性塗料に分かれています。
見た目や機能性だけでなく、素材と相性や耐久性などを見極めて塗料の選択をすることが大切です。

塗装の手法も多岐にわたるため、よく利用される手法の特徴を紹介します。
▶︎溶剤塗装:シンナーなどの有機溶剤に塗料を溶かし塗りつける手法で、安価で汎用性が高いことが特徴です。
▶︎静電塗装:高電圧環境下で帯電した塗料を吹き付ける方法で、高品質で無駄のない塗装を実現します。
▶︎焼付塗装:塗料を吹き付けた後、加熱して塗料を硬化させます。強固で耐久性に優れた塗装が可能です。
▶︎電着塗装:素材を塗料に漬け、電気で塗料を付着させる方法で、大量生産向けで複雑な形状の素材に最適です。

化成処理

「化成処理」は、金属を酸やアルカリ性の水溶液に付け、化学反応によって薄い皮膜を生成する手法です。
生成された薄い皮膜を「化成皮膜」と呼び、耐食性を高めて塗装が定着しやすくする働きがあるなど、素材そのものを強化する働きがあります。

なお、化成処理では素材ごとに利用する水溶液が異なります。
作業工程や特性、コストなどを考慮して選択しなければならないので注意しましょう。

代表的な化成処理方法を4つ紹介します。
▶︎リン酸塩処理:表面にリン酸塩皮膜を作る方法で、鉄の防さび性や塗装密度向上に効果的です。
▶︎クロメート処理:三価クロムや六価クロムの皮膜を作り、亜鉛めっきの後処理に使用し耐食性を高めます。
▶︎ジンケート処理:亜鉛酸塩の皮膜を作る方法です。アルミの酸化皮膜を溶かし、めっきや塗装の定着性を高めます。
▶︎黒染め処理:特殊な熱処理によりアルミ・クロムの酸化被膜を作る方法で、耐酸化性や耐摩耗性、焼付き性が向上します。



おわりに

表面処理は製品の見た目をキレイにするだけでなく、耐食性や耐摩耗性の工場など、品質面にも大きな影響を与えます。
素材の特性や製品用途によって表面処理の方法が異なるため、相性の良い手法を見極めることが大切です。
今回の記事を参考にしていただき、品質の高い製品を作り出すために表面処理について、さらに理解を深めていただければと思います。