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製造業における歩留まりとは?改善するためのPDCAを紹介
製造業では“歩留まり”という言葉がよく使われますが、意味を分かっていない状態でこの言葉を聞いても、何を表すのかイメージがつかないのではないでしょうか。
しかし、歩留まりは製造業において重要な経営指標の1つとなるため、言葉の意味はもちろん、算出方法などもしっかりと押さえておくべきだと言えるでしょう。
そこで、この記事では歩留まりとは何なのかを解説したうえで、計算方法や改善方法を紹介します。
歩留まりとは?
歩留まりとは、ある製品を作るうえで使った原材料の量に対して、実際に成果物としてできた量の割合を表す指標のことを指します。
この成果物の中に不良品は含まれないため、「生産物の中の良品の割合を表す指標」だと言い換えることもできるでしょう。
また、歩留まりを百分率で示したものを、歩留まり率と呼びます。
歩留まり率が高ければ高いほど、無駄なく製品が製造できているということがわかるのです。
歩留まり率の計算方法
歩留まり率は、以下の計算式で求められます。
歩留まり率=良品数÷生産数×100(%)
※良品数:生産された製品の中で出荷できる良品の数
生産数:良品に不良品を加えて算出される総生産数
この式に、具体的な数字を当てはめてみましょう。
生産数が1000個、良品数が950個の場合、歩留まり率は95%になります。
つまり、この製品は仕様通りの製品が95%の割合で生産されていることがわかるというわけです。
ただし、不良品数が多い場合には、それらを再加工して良品になった時点で歩留まりを再計算する場合もあるので注意しておきましょう。
歩留まりを算出すべき理由
製造業において歩留まりを算出するべきなのは“生産性の向上”につながることが理由として挙げられるでしょう。
歩留まりを算出することで、生産プロセスや作業効率を評価しやすくなります。
例えば、歩留まりが高ければ、同じ量の材料や資源を使用してより多くの製品を生産できていることがわかります。
しかし、歩留まりが低いと、生産性が下がっていることが明らかになるため、どこに課題があるのか、どう改善するべきなのかが把握できるようになるのです。
結果的に生産の無駄やコストの削減にもつながり、生産性が向上するでしょう。
押さえておきたい“直行率”
歩留まりを理解するうえで、押さえておきたい言葉に“直行率”というものがあります。
直行率は、製造ラインや各工程において、加工した製品が問題なく次の工程に進む割合を示す指標です。
一方、歩留まりは、一定数の原材料や部品を使用して製造された製品のうち、最終的に完成品として出荷できた製品の割合を示します。
直行率も歩留まりも良品の割合を示す数値ですが、歩留まりを計算する際は、途中で不良品が手直しされたものも良品として計算に含まれます。
その場合、手直しのためにコストが発生しており、製品が完成した時点で正確にかかったコストが算出できないこともあるのです。
しかし、直行率はそれぞれの工程から次の工程に進む割合を示す指標であるため、歩留まりよりも細かく製造コストを算出できるという特徴があります。
歩留まりを改善するための具体的なPDCAサイクル
歩留まりが低いことが判明したら、改善策を考えることが大切です。
ある製品の歩留まりが80%であることが判明したと仮定して、どのようにPDCAを回せば歩留まりの改善につながるのか具体的な例を紹介します。
Plan(計画)
歩留まりを改善するためには、“生産でミスが発生しないようにする仕組みづくり”が重要となります。
そこで、まずは以下のような計画を立ててみましょう。
- 原材料の質を向上させる
- 生産ラインのトラブルを減らす
- 作業員の技術向上を促す
Do(実行)
Planで立てた計画に基づき、以下のように実行してみます。
- 原材料の購入先を見直し、より高品質な原材料を調達する
- 機械メンテナンスの頻度を増やし、トラブルの発生を減らす
- 作業員に研修を実施し、技術向上を図る
Check(評価)
実行したことを踏まえて、歩留まりが改善されたか評価しましょう。
- 原材料の質が向上したことで不良が減った
- 機械は古くなっているのでメンテナンスだけでは限界がある
- 作業員のミスが減った
Act(改善)
評価の結果を踏まえて、改善策を考えます。
- 原材料は新しく取引を始めた購入先と継続して付き合う
- 機械はメンテナンスでは追いつかないので新しいものを購入する
- 作業員には引き続き研修の受講等を促す
このように、課題を探りながらPDCAサイクルを回していけば、歩留まりの改善につなげていけるでしょう。
おわりに
歩留まりは、製造業にとって会社の利益を左右する重要な指標であり、自社の生産性を向上させるうえでの永遠の課題とも言えるでしょう。
歩留まりが低い場合は、その原因を見極め、適切な改善策を検討し実施していくことが大切です。
ただし、目標は現実的な内容で設定しなければPDCAも続きません。
今回紹介した内容を踏まえて、自社でできる歩留まり改善策を考えていきましょう。