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測定機器に校正が必要なのはなぜ?基礎の基礎から解説!
品質管理担当になって“校正”を行うよう指示を受けたものの、何のために校正を行うのか、いまいち分からないのではないでしょうか。
しかし、測定機器の管理において校正は非常に大切な作業で、製品の検査を行ううえで欠かすことのできないものです。
そこで、この記事では、そもそも測定機器の校正とは何なのかを紹介し、何のために行うのか、どのように行えば良いのかを解説します。
測定機器の校正とは?
”校正”とは、使用している測定機器の精度を調べ、正確な測定値とのずれを確認する作業です。
例えば、重さを測る機器の場合、100gの製品を測定すると、通常は”100g”という測定結果が出るでしょう。
しかし、測定機器は使用していくうちに摩耗や劣化などにより、少しずつ精度が落ちていきます。
そうすると、100g の製品に対し”101g”という結果を出すようになってしまうことがあるのです。
このようなずれを防ぐために、測定機器は定期的に校正を行う必要があります。
測定機器に校正が必要な理由
校正は、測定機器の精度を調べるために行われるものですが、それにはいくつかの理由があります。
ここでは、その理由を大きく2つに分けて紹介します。
製品の品質を保証するため
最も大きな理由は、製品の品質を保証するためです。
製造業における精度はかなり細かいものも多く、1000分の1ミリ程度の誤差も許されない場合があります。
もし測定機器の出す結果が事実と異なる場合、当然測定後の品質も保証できないでしょう。
そのため、測定機器の校正は常に徹底し、測定を行う時点で一切の不備がない状態にしておくことが求められるのです。
お客様から信頼してもらうため
先ほどの製品の品質と関連しますが、もう1つの理由は、お客様に信頼してもらうためです。
お客様は依頼したものをそのとおりに納品してくれることを期待しています。
そのため、測定機器にずれがあり、求めているものが納品されない場合、あっという間に信頼を失ってしまうでしょう。
一度失った信頼を取り戻すことは難しく、お客様が離れてしまうと今後の経営にも直結します。
「あそこに依頼すれば確実な製品を納めてくれる」と思ってもらえるよう、定期的に校正を行い、高い精度で検査を行っていくことが重要です。
いつ校正を行うべき?
校正は非常に重要な作業ではありますが、実施するタイミングについては、実は国際規格や法律でも明確に定められていません。
そのため、自社で独自にルールを定めていく必要があるのです。
なお、多くの計測機器メーカーでは、年1回の校正を推奨していますが、計測機器の使用環境や使用頻度、製品の精度基準の要求値などによって、必要な校正タイミングは異なります。
また、校正を実施するにはコストもかかるので、自社にとって最適な校正のタイミングを見極めることが大切です。
3点セットの校正証明書類とは?
校正証明書類とは、対外的に校正結果が有効である根拠を示すための書類です。
特に重要な書類は以下の3点なので、この機会に覚えておきましょう。
校正証明書
測定機器の校正結果を示した書類。
校正実施日や実施メーカーといった基礎情報や、校正項目、校正結果などを記載しています。
試験成績表
機器の測定データが記録された書類。
トレーサビリティ証明書
校正に使用した標準器が、国の計量標準に準拠していることを証明する書類。
これら3点の書類は、お客様から提出を求められることもあるため、校正を行った際には揃えるようにしておきましょう。
校正を実施するには
校正を実施する方法は、大きく分けると自社内で実施する場合と社外に委託する場合の2パターンがあります。
社内で実施する
校正作業は社内で実施することも可能です。
しかし、社内の独自ルールのみに則って行われた校正結果は、公的に有効と認められないことがあります。
そのため、
- 基準を満たした「標準器」を用いる
- 校正手順を整備する
- 気温などの外部環境を一定に保つための測定室を設置する
など、誰がいつやっても同じ結果が出るよう環境を整えなければなりません。
また、校正作業員の教育も必要になるため、マニュアルなどの資料を作っておくべきでしょう。
このように、社内で校正を行う場合は、念入りな準備が必要です。
外部に依頼する
社内で正確な校正作業を実施するには、上記のように様々な準備が必要になってきます。
一方で、校正は非常に重要な作業でありながらも、生産性自体を引き上げるものではないことも覚えておかなければなりません。
そのため、外部の専門機関に校正作業そのものを委託することも1つの選択肢として検討すべきでしょう。
専門機関に校正作業を依頼すると、精度の高い校正結果を得ることができるため、製品の品質を確実に担保することができます。
おわりに
校正は一見地味な作業に見えがちですが、製品の品質保証をする上で欠かすことができません。
製造業において、品質は最も重要なものです。大きな品質不具合を起こさないためにも、校正作業は定期的に行っていきましょう。
今回紹介したように、自社で行うだけでなく、外部に委託することもできるので、社内の負荷状況を見ながら、対応方法を考えていくことが重要です。