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産業用ロボットとは?どんな種類があるの?

公開日/更新日:2024.02.28


世の中にはたくさんの種類のロボットがあり、製造業においても活躍が期待されています。

今回の記事は、“産業用ロボット”に焦点を当て、そもそも産業用ロボットとはどのようなものなのかを解説したうえで、活用される場面やどんな種類があるのかを紹介していきます。
産業用ロボットと聞いてもすぐにイメージが浮かばない場合は、ぜひ参考にしてみてください。



産業用ロボットとは?定義は?

産業用ロボットとは、“人の代わりに製造現場での作業を行ってくれるロボット”のことを指します。
工場内が紹介されているような映像の中で、自動で様々な作業を行うロボットを見たこともあるのではないでしょうか。

なお、産業用ロボットがどのようなものなのかという点では明確な定義があり、国家規格である日本産業規格(JIS)のJIS B0134で、

自動制御され、再プログラム可能で、多目的なマニピュレーターであり、3軸以上でプログラム可能で、1か所に固定してまたは運動機能をもって産業自動化の用途に用いられるロボット
※マニピュレーター:人間の腕の代わりとなるような動きをするロボット

と定義されています。

つまり、人間の腕が行う様な、掴む・離す・動かす・くっつけるといった動作を行って、製造現場での作業を自動化するような役割があるのです。



どのような場面・作業で活用されている?

産業用ロボットは、様々な場面や作業で活用されています。

例えば、自動車製造工場では、部品の組み立てや溶接、表面の塗装などの作業に、食品産業では、食品の包装や仕分け、加工などの作業が例として挙げられるでしょう。

また、電子機器の製造や医療機器の組み立てなどの精密な作業にも使用されるなど、その可能性は多岐にわたっているのです。



サービスロボットとの違いは?

ロボットの中には、産業用ロボットの他に“サービスロボット”というものがありますが、この2つは用途に違いがあります。

産業用ロボットは先ほど説明したような、“産業自動化”が主な用途です。
例に挙げた自動車の組み立てや鉄材の溶接などが対象です。
一方、サービスロボットは、“人の作業をサポートする”ことが主な用途です。
例えば、医療現場における食事支援や自宅の清掃補助などが挙げられます。

どのような用途で用いられるかで、産業用ロボットとサービスロボットを区別していく必要があるでしょう。



産業用ロボットの種類

産業用ロボットと一言で言っても、その中にはさまざまな種類のものが存在します。
それぞれ特徴や使用方法が異なるため、代表的な産業用ロボットの種類を紹介します。

垂直多関節ロボット

垂直多関節ロボットは、アームの関節が垂直に配置されているロボットのことを指し、人の腕のような動きをするのが特徴です。
産業用ロボットと聞いたときに、最もイメージしやすい動きや形状で、実際に製造現場でも広く使われているタイプのロボットだと言えるでしょう。
関節部分は“軸”と呼ばれ、軸の数に応じて、4軸型、6軸型などと表現されます。
溶接や搬送、塗装といった幅広い用途で使用されます。

水平多関節ロボット(スカラロボット)

水平多関節ロボットは、アームの関節が水平に配置されているロボットです。
垂直多関節ロボットに比べると可動の複雑さは落ちますが、その分水平方向に動ける範囲が広がり、シンプルな構造ゆえの強度の高さが特徴であるため、組み立てや運搬に向いています。
なお、英語表記の「selective compliance assembly robot arm」から頭文字を取り、SCARAロボット(スカラロボット)と呼ばれることもあります。

パラレルリンクロボット

パラレルリンクロボットは、複数のアームが並列して配置されているロボットです。
見た目はUFOキャッチャーをイメージしてもらうと想像しやすいかもしれません。
並列したアームが最終的に1つの先端部分を支持し、その先端部分が様々な作業を行います。
例えば、ベルトコンベア上に流れてくる製品を高速で選別し、別の場所に移動させたり、並び替えたりすることが可能です。

直交ロボット

直交ロボットは、直線軸のロボットを複数組み合わせたような形状で、産業用ロボットの中でも非常にシンプルな構造になっています。
その分、低コスト、省エネルギー、誤作動が起こりにくいといった特徴があり、多関節ロボットなど他のロボットと組み合わせて使われることも多いロボットです。

双腕ロボット

双腕ロボットは、2本のアームを持つロボットであり、人間の腕のような動きをすることができます。形状としては、先ほど紹介した多関節型ロボットのアーム部分が2本ついていると考えるとイメージしやすいでしょう。
2本のアームがあることで、より複雑な動きができるようになっており、近年注目が集まっている産業用ロボットの1つなのです。



おわりに

産業用ロボットの需要は、自動化や効率化の要求の高まりとともに増加しています。
また、人口の高齢化や労働力の不足といった社会的な課題も、産業用ロボット市場の成長を後押ししていると言えるでしょう。
そのため、市場はこれからも拡大することが予想できます。

実際、産業用ロボットは、現代の製造業や工業分野において既に不可欠な存在です。
今回紹介した内容を参考にしていただき、あなたの会社でも活かせるロボットがないか検討してみてはいかがでしょうか。