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製造業はロット管理を行なうべきなのか?実施するメリットは?

公開日/更新日:2024.01.31

社内の製品生産量が多くなるにつれて、何も管理のルールが決まっていないと様々な問題が生じる可能性があります。
そんなときに取り入れたいのが“ロット管理”です。

ただし、ロットで管理を行うことでどのようなメリットがあるのかは、なかなかイメージしづらい部分もあるかもしれません。
そこで、この記事ではそもそもロット管理とはどのような管理方法を指すのかを解説したうえで、ロット管理を行うべき理由や実施する際の注意点を紹介します。



ロットとは?

ロットとは、主に1回あたりの生産でまとめて作られる製品の量の単位を指します。
具体的には、同じ時期や同じ条件で生産される製品群を1つのロットとして取り扱うことが一般的です。

ただし、ロットの数は取り扱う製品や会社によって全く異なります。
「1ロット=10個」の場合もあれば、「1ロット=1,000個」といった場合もあるので、何をもって1ロットとするのかは、各社ルールを決めておかなければなりません。



ロット管理とは?

ロット管理とは、先ほど説明した“ロット”に基づいて製造業における生産から出荷までの管理を実施していく方法のことを指します。
簡単な具体例を挙げてみましょう。

ロット管理の例



ロット番号 2010060110
個数 1000個
製造期間 6月1日〜10日製造分
使用機械 ○○、▲▲、◆◆
担当者 ●●

例えば、この製品が全体で10万個の受注を受けているものだとします。
もしお客様の元に納品した際に不良品が見つかった場合、ロット管理していないと10万個すべての中から原因を追求していかなければならず、膨大な時間や手間がかかるでしょう。

しかし、ロット管理を行っていることで、まずは不良品が発生したロット分から機械の不具合や担当者のミスなどがないかを調べていけるのです。

この例のように、製造業の管理を行ううえで、ロット管理は欠かすことのできないものだと言えるでしょう。



ロット管理を行うべき理由

製造業としてロット管理を行うべき理由を、もう少し詳しく見ていきましょう。

コストが削減できる

ロット管理を行う場合、まずは“最小ロット”を決めるところから始めます。
製品の需要や自社の生産体制を考慮に入れながら、1回の注文で受ける量の下限を決めるのです。
この最小ロットを決めておくことで、無駄のない生産体制を構築できるため、生産コストの削減につながります。

例えば、最小ロットを設定していない場合、いつまでに何個作れば良いかの目処が立たず、需要以上の製品を作り続けてしまう恐れがあります。
そうなると、機械の稼働費や人件費などがだんだんと膨れ上がっていくでしょう。
また、売れない在庫がたまっていくと、その管理費も想定外のコストとしてかかってきます。

このように、適正な生産量を保ってコストを削減するうえでも、ロット管理は非常に役立つのです。

在庫管理を効率化できる

基本的に同じロット内の製品の品質は同じものだという前提に基づいて管理されることが一般的です。
そのため、例えば1ロット=1,000個で最小ロットを設定している場合、そのロット内の1個の製品の品質を確認すれば残りの999個も同じものになっていると判断できます。
ロットごとに番号を振り、その番号ごとに生産日や発送期限をまとめておけば、効率的に在庫管理を行っていけるでしょう。

トレーサビリティが強化される

トレーサビリティとは、“ある製品の生産工程を追跡できること”を指します。
例えば、不良品が発生した際に、その製品がいつ、誰が、どのような作業を経て完成したものなのかといった情報は、ロット管理を行っていれば容易に追跡することができるのです。
トレーサビリティが強化できれば、品質向上やお客様の信頼性向上につながります。
そのため、製品の管理を行ううえで、ロット管理は欠かすことができないものといえるでしょう。



覚えておきたい注意点

メリットの多いロット管理ですが、実施するにあたっていくつか注意点があります。
これからロット管理を始める場合は、以下のようなことに気をつけて進めていきましょう。

必ずルールを決める

ロット管理を行う際には、明確なルールや基準を設定することが重要です。
例えば、ロットの定義や番号付けの基準、管理の基準などを定めておかないと、人によって認識が変わり、社内での情報共有やお客様への対応がうまくいかなくなってしまいます。
社内で混乱を招かないようにするためにも、ロット管理を行う場合はルール作りを徹底しましょう。

担当者の負担を考慮する

ロット管理は製造プロセス全体にわたって継続的な管理が必要となります。
そのため、担当者の負担が増えすぎると、品質や生産効率に悪影響を及ぼす可能性があるのです。
特定の担当者に仕事が偏ることがないよう、社内全体で管理を行う体制を整えておかなければなりません。

トラブル時の対応をまとめておく

万が一のトラブルや品質問題が発生した際には、迅速かつ適切に対応することが求められます。
先ほどのルール作りにもつながってくる部分ですが、対応方法が共有されていないと、お客様からの信頼を失う原因になってしまうでしょう。
ロット管理を行う場合は、トレーサビリティの確認方法も含め、トラブルが発生した際の手順を作成しておくことをおすすめします。



おわりに

製造業においてロット管理を行うことは、管理面の強化といった観点から重要な取り組みだといえるでしょう。
実際に、コスト削減や在庫管理の効率化、トレーサビリティの強化など、メリットは多くあります。
しかし、ルール作りなど事前に行っておかなければならないことも存在するため、今回紹介した内容を踏まえて、自社に合った適切なロット管理を実現していきましょう。