町工場お役立ちブログ

製造業に求められる“5S”とは?実施する際のポイントを紹介!

公開日/更新日:2023.02.02


カテゴリー:生産性向上

「うちでも5Sに取り組もう!」

社内でそんな話が盛り上がったものの、具体的に何をすれば良いのかわからず、立ち止まってしまっていませんか?

実際、製造業において“5S”というフレーズはよく聞くものの、具体的に何を意味するかをはっきりと答えられない方も多くいます。

そこで、この記事では、5Sとは何なのかを解説し、実施するためにどのようなポイントを押さえておくべきなのかをご紹介します。



5Sとは?

5Sとは、「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の5つの頭文字のSから由来する言葉で、製造業において業務効率化を図ったり、仕事のパフォーマンスを高めたりするために必要な取り組みです。

まずは、5つのSについて、それぞれ説明していきます。

整理

必要なもの、不要なものを分け、社内を整理することを指します。
製造業は、日々たくさんのものが作り出されるほか、紙でのやりとりも多く、知らない間に不要なものがたまっていきます。
実際、社内を片付けないままでいると、どんどんものが溢れかえってしまいませんか。
必要なものをすぐに見つけられるようにするためにも、普段から整理を心がけることが重要です。

整頓

整頓は、必要なものの置き場所を決め、そこに保管することを表します。
工具や材料を置く場所をあらかじめ決めておくことで、作業時間などの短縮を図ることができます。
作業時間を短縮できれば生産性が高まるため、社内のものを整頓していくとそのまま売り上げの増加にもつながるのです。
利用頻度や作業の順番に応じて、置き場所を決めていくと、それぞれの配置を考えやすいでしょう。

清掃

文字通り、社内の清掃を行うことを指します。
また、社内の掃除に加えて、機械のメンテナンスなども清掃に含まれます。
社内の清掃を習慣化しておくことで、ちょっとした違和感にも気付けるようになり、現場での危険を回避できるでしょう。
そのため、清掃を心がけることは結果的に安全管理にもつながります。

清潔

清潔で求められるのは、「きれいな状態を保つ」ということです。
これまで紹介してきた整理・整頓・清掃は、思いついたときに実施するのではなく、定期的に行うよう意識し、清潔な状態を維持することが大切です。

しつけ

最後のSである“しつけ”は、他のSを従業員に習慣づけることを指します。
整理や整頓、清掃は、習慣化していないと、仕事が忙しくなってきた時などに、疎かになってしまいがちです。
そうならないよう、ルールなどを定め、定期的に5Sの指導を行っていきましょう。



5Sに取り組む意味


5Sの目的は、「会社をきれいにすること」だけだと思われがちですが、実はそうではありません。
製造業として、5Sに取り組むことでどのような意味があるのかを、3つに分けて解説します。

生産性の向上

製造業が抱える大きな課題として「探し物に時間がかかる」という点が挙げられます。
ただでさえ、ものが多い現場で工具や材料が整理されていない状態で置かれていると、加工する、段取りを組むだけでも、使うものを見つけるために探し物をしなければならず、余計な時間がかかってしまうのです。
そのため、5Sを心がけて現場内を整理することで、作業ごとの効率が高まり、生産性の向上につながります。

安全面の向上

現場には、たくさんの危険が潜んでいます。
機械を扱う際には細心の注意が必要ですし、床に置かれているものに足がひっかかって転倒するだけでも、大ケガにつながりかねません。
そのため、機械の定期的なメンテナンスや現場内の清掃は、危険を避けるためにも必要不可欠なことと言えるのです。

従業員のモラル向上

現場内にゴミが落ちている、材料が乱雑に置かれている…といった状況は、一度放置すると、どんどん悪化してしまう傾向があります。
そのため、5Sを実施し、現場を常にきれいにするよう心がけることは、そのまま従業員のモラルの向上につながるのです。
従業員が働きやすい職場は従業員が作る、といった空気を作ることで、5Sに取り組む姿勢も変わっていくでしょう。



5Sを進めるためのポイントを紹介!

冒頭の発言のように「5Sに取り組もう!」と意気込んでいたものの、うまく浸透しない会社はたくさんあります。
その理由は「進め方がわからないから」です。
最後に、5Sをうまく進めるためのポイントを紹介します。

社内の理解を得る

5Sは、従業員からすると「業務時間中に業務以外のことをしなければならない」と感じるということを経営者層は理解しておく必要があります。
トップダウン形式で、無理やりやらせるような形になってしまうと、従業員はただやらされているだけになってしまい、前向きに5Sの活動を行う気が削がれてしまいます。
そのため、社内で新たに5Sに取り組む際は、「なぜ5Sに取り組むのか」「どういう意味があるのか」を伝えて、社内の理解を得る必要があるのです。

具体的な5Sの目標を共有する

先ほども説明したように、5Sの目的は職場をきれいにすることだけではなく、生産性向上や業務効率化、安全管理の徹底などにつなげることです。
それらを達成するためにも「残業時間を◯%減らす」「1日あたりの生産数を〇%向上させる」など、具体的な目標を設定し、社内で共有することが大切です。
ただし、日々の業務に追われると、どうしても5Sへの意識が薄まります。
定期的に目標の達成度合いを確認する時間を設けるなど、従業員の意識を高める場を作るよう工夫しましょう。

項目ごとに課題からやることを決める

5Sは先ほど説明したとおり、「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」と、5つの項目に分けられます。
それぞれ具体的に何を行うべきかを考える際、社内の課題から逆算して考えると、わかりやすくなります。
社内ではどんなことで困っているか、どんな危険が潜んでいるかを共有したうえで、それらを解決するためには何をすれば良いのかを考えることで、具体的にやるべきことが見えてくるでしょう。



まとめ

製造業は、ものづくりを楽しめる環境でありながら、ケガなどの危険と隣り合わせなのも事実です。
また、まだまだ昔からの文化が根強く残っている業界でもあるため、効率化できる部分はたくさんあります。
だからこそ、製造業では5Sを徹底することが求められるのです。
今回紹介した内容を踏まえて、まずは自社の課題を見出し、少しずつ自社の職場環境が良くなるような5Sを展開していきましょう。