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製造業におけるQCDとは?改善のプロセスはどう進める?

公開日/更新日:2023.06.08


カテゴリー:生産性向上

製造業において、「QCDを改善することが生産性向上のカギになる」とよく言われます。
ですが、そもそもQCDって何を表すのか、あなたはご存じですか?

「なんとなく聞いたことはあるけど、詳しくは知らない…」

そんなあなたに向けて、この記事ではQCDの意味や概要を解説したうえで、QCDを改善する際の流れを紹介します。
自社の状況と照らし合わせながら、読んでみてください。



QCDとは?

QCDとは、製造業が品質管理を行う際に重要視される、Quality、Cost、Deliveryの3つの頭文字から由来している言葉です。
製品を生産する際、この3要素の改善を意識することが生産性向上の近道になります。

Quality

Qualityとは、製品の“品質”を表します。
不具合がないことはもちろん、指定された精度から寸分の狂いなく仕上げるような品質の高さは顧客満足度に直結するでしょう。
職人のスキル向上や最新設備の導入、検査体制の強化などにより、Qualityは高められていきます。

Cost

Costとは、文字通り製品の生産にかかる“コスト”を表します。
予算を立てたり、製造原価を抑えたりしながら、コストを計算していきます。
また、コストを算出する際は、生産に必要な時間も考慮するのが一般的です。

Delivery

Deliveryとは、製品を顧客に届けるまでの“納期”の遵守度を指します。
言い換えれば、生産スケジュールの管理とも言えるでしょう。
そのため、納期そのもの以外にも、製品が完成するまでの期間や発送までのリードタイムもDeliveryに含まれます。
Deliveryの管理を徹底することで、お客様からの信頼も高まり、安定した継続依頼につながるのです。



QCDの優先順位は?

QCDにおいて、最も優先させるべきものは「Quality」だと考えられています。
顧客からすると、いかに安かろうが、納期に間に合っていようが、品質の悪いものは、製品として価値がありません。

まずはQualityの基準を満たすことを心がけ、DeliveryとCostをどのように高めていくかを検討しましょう。

ただし、DeliveryとCostのどちらを優先させるかは、顧客の要望によって異なります。
そのため、顧客のニーズを汲み取りながら、QCDを改善していくことが大切です。



QCDはバランスを考えることが大切

QCDを改善することで、生産性が向上するのはもちろん、顧客からの信頼も高まりますが、実はQCDすべての要素を同時に伸ばすことは非常に難しいのです。
例えば、納期を早めたり、コストを抑えたりしようとすると、どうしても品質は荒くなってしまいがちです。
逆に、品質を高めようと思うと、丁寧な生産・製造が必要になるため、時間がかかってしまいます。

このように、QCDはいずれかの要素を高めようとすると、他の要素を抑えないといけないといった相互作用が働く関係なので、それぞれのバランスを考えて改善案を考えることが重要です。

顧客のニーズと自社の強みを照らし合わせながら、QCDの改善を進めていきましょう。



QCDを改善するためのプロセスは?


最後に、QCDを改善する際のプロセスを、4つのステップに分けて解説します。

【ステップ1】社内の現状を理解する

改善案を考えるためには、まずは社内の現状や課題を理解しなければなりません。
従業員に困っていることや課題をヒアリングする、お客さんの声を聞く、現状の仕事の流れをすべて書き出してみるなどを実施し、自社の業務のどこに課題があるのかを把握することが大切です。

【ステップ2】QCDに分けて改善案を考案する

自社の課題がわかったら、次はその課題を解決するために具体的な改善案を考案します。
このときに、自社の課題がQCDのどの部分に該当するのかを考えてみましょう。
例えば、

  • 顧客から不良を指摘されることが多ければ、検査体制を充実させる(Qualityの改善)
  • 納期の管理ができていなければ、生産管理システムを導入する(Deliveryの改善)

など、QCDに当てはめて考えることで、改善案を導きやすくなるのです。

【ステップ3】改善案を実行に移す

改善案が決まったら、実際にその案を実行に移します。
ただし、いきなり大幅に仕事の流れ等を変えてしまうと、社内からの反発が生まれる可能性もあるため、改善案は定期的に従業員と共有し、徐々に実施していくのがポイントです。

【ステップ4】効果検証を行う

QCDを改善する際、改善案を実施したあとの効果検証が非常に大切になってきます。
当然、すべての案がうまくいくとは限らないからです。
そのため、実施した改善案が意味のあるものなのか、効果を出しているのかなどを検証していかなければなりません。
事前に製造原価やリードタイム、不具合率などの数値目標を設定しておき、改善前後の数値を比較して検証を行っていきましょう。



まとめ

QCDは、Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の頭文字を取った言葉で、製造業において、QCDの改善は生産性向上のカギを握ります。
ただし、すべての分野を同時に伸ばすことは難しいため、自社の長所や短所、抱える課題を踏まえて、改善する項目を決めていくことが大切です。
今回ご紹介したプロセスを参考にしていただき、自社の強みを伸ばしていきましょう。