町工場お役立ちブログ
試作品から製品が製作されるまでの流れとは?
初めての新製品開発となると、試作品を作る際に「どうして試作品を製作するのか」「量産化するまでどのように行っているのか」までは意外と理解できていないかもしれません。
ですが、試作品を製作することのメリットを理解し、製品完成までの流れを把握しておくと、今後の製品開発がよりスムーズに進められるようになります。
そこで、この記事では、試作品製作を行う意義や具体的な流れを紹介します。
試作品とは?
試作品とは、製品の生産を本格的に始める前に、設計や仕様に問題がないかを確認するために製作する、いわば“テスト品”のようなものを指します。
量産前の問題点を洗い出すために、さまざまな評価試験を実施するのが一般的です。
具体的には以下の基準等を満たしているか判断していきます。
- 安全性
- 品質
- コスト
- 環境への影響 など
試作品を製作するメリット
試作品製作は、製品の量産化には欠かせない工程です。
そんな中でも、試作品製作のメリットとしては、“大きなやり直しを防止できること”が挙げられます。
完成した製品がクライアントのニーズに合わず、また1からの製作となれば、必要以上のコストと時間がかかります。
そのため、試作品を製作することで完成後のやり直しが防止できるため、コスト等の削減につながるのです。
製作途中で、クライアントの意見を取り入れながら調整して開発を進められることは試作品製作の大きなメリットと言えるでしょう。
試作品から製品ができるまでの流れ
製品が完成するまでに、多くの検証や評価試験を経て、その都度試作品製作を繰り返します。そこで、試作品から製品ができるまでの流れを詳しく解説します。
製品のアイデアが出てきたら、まずは「どんな人がどのように使用するのか」を考えなければなりません。
そのためには、まずは以下のような仕様を検討していきます。
- ターゲット層
- 使用目的
- 製品コンセプト
- サイズや規格
設計
仕様が決まったら、その内容をもとに設計を行います。
強度や耐久性、重量、材料などに加えて、加工・組み立て方法など、さまざまな条件を考慮することが重要です。
決まった内容を踏まえて、設計した内容を図面に書き起こしていきます。
デザインレビュー
設計完了後、その設計が本当に妥当なものであるかどうかを評価する“デザインレビュー”を実施します。
デザインレビューの実施は、後工程に不良を残さず、設計プロセスにおけるトラブルを防ぐことが目的です。
もし重大なミスに気づかないまま先の工程に進んでしまったら、やり直しが発生し、コストや手間が発生してしまうので、この段階で時間をかけて入念に確認していきます。
具体的には、以下のような項目をチェックするのが一般的です。
- 設計計画
- 機能
- 性能
- 計画の安全性
- デザイン
- 生産性
- 廃棄性
- コスト
- 法令や規制
- 納期
試作製作
デザインレビューで適正な評価を得られたら、試作製作を行います。
精密板金、金型、樹脂・金属加工などの試作加工業者に依頼し、製品を形にしていくことが多くなるでしょう。
また、近年はコストや時間を抑えるために3Dプリンタを使って試作製作をするケースも増えています。
検証
製品化される前に、試作品を使ってさまざまな評価テストが行われます。
以下は、主な検証試験の例です。
- 組み立て試験:仕様書や図面どおりに製作できるか
- 機能評価試験:落下試験や衝撃試験、荷重試験、静電対策試験などに耐えられるか
- 性能評価試験:求めるスペックを満たしているか
- デザイン評価試験:デザイン面と使いやすさが両立できているか
- 設計検証試験:設計自体に問題がないか
- 生産検証試験:製品が大量生産に適した設計になっているか
評価試験で問題が発覚した場合は、設計変更や工程の見直しなどの改善を行います。
必要に応じて試作品を再製作し、変更した部品や材料で再検査や評価を実施しましょう。
製品によっては、何度も試作を繰り返すことも珍しくありません。
評価試験が完了した後、再度デザインレビューが行われ、量産化に向けて問題点の洗い出しを繰り返していくのです。
量産
それぞれの検証をクリアしたら、まずは少量で製作を行います。
量産する際と同様の材料、スケジュールで生産し、工程やコストに問題がないか確認します。
この段階でできあがった製品は、試作品の時と同じようにさまざまな視点から審査され、問題がなければ、本番の量産に移行していくという流れで製品化へと進んでいくのです。
おわりに
今回は、試作品製作のメリットや実際の製作から量産化までの流れについて紹介しました。
試作品製作は、時間や手間、コストがかかりますが、商品開発において非常に重要な工程です。
試作品製作の流れを理解し、コミュニケーションを大切にして試作品製作を行えば、よりスムーズに新製品を生み出すことができるでしょう。