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KYTは製造業には必須!?具体的な進め方は?

公開日/更新日:2023.07.19

製造業といえば、特に安全面には気をつけなければなりません。
機械に手を挟まれた、骨折したなど、痛ましい事故をニュースで見かけることがありませんか。
そんな中、製造業では安全管理の一環として、「KYT」が行われています。

この記事では、製造業におけるKYTとはどのようなものなのか、KYTを実施することでどんな効果をもたらすのかを解説し、今すぐ始められるKYTの進め方を紹介します。



製造業における「KYT」とは?

「KYT(危険予知訓練)」とは、

  • 作業中に潜む危険を見つけ出す
  • その危険がどんな事態を引き起こすのかを考える
  • それらを解決する能力を高める

ために行う訓練です。

「KYT」は、危険の「K」、予知の「Y」、訓練(トレーニング)の「T」からそう呼ばれており、危険なポイントや行動目標を共有することを主な目的としています。



製造業にKYTが必要な理由

まずは、製造業においてなぜKYTが必要なのかを詳しく解説します。

労働災害のリスクを抑えるため

KYTを実施することで、労働災害を防ぐことができます。
労働災害のほとんどは、「ヒューマンエラー」と「リスクテイキング」によって起こっていることはご存じでしょうか。

ヒューマンエラーとは、見間違い、うっかりしていたなど、“意図しない不注意によるミス”のことを指し、リスクテイキングは“意図的なミス”を表します。
作業に慣れてきて油断や過信をしてしまった、作業の労力を減らすために安全確認を怠った、などがリスクテイキングに当てはまります。

KYTを実施し、このようなミスを招きやすい心理状態を理解することで、労働災害の抑制につながるのです。

安全管理に関する情報を共有するため

KYTは、作業員同士で安全管理に関する情報を共有する際も効果を発揮します。
もし、安全確認を十分に行わずに製造業で大きな事故が起きてしまったら、作業員の命に関わるかもしれません。

人は普段、無意識で行動していることが多いと言われており、意識的に危険個所や危険行動について振り返る必要があります。
KYTはまさにその役割を果たし、従業員の情報共有を促すことで、徹底した安全管理につながっていくのです。



KTYシートを活用しよう

KYTを実施する際は、“KYTシート”を活用し、危険を回避する行動を見つけ出しましょう。
KYTシートとは、ヒヤリ・ハット事例など、製造業に潜む危険を写真やイラストにしたもので、現場ではどのようなことに気を付ければ良いのかが理解しやすくなります。

>> ヒヤリハットとは?

インターネットで検索してみると、既存のテンプレートのようなものも見つかりますが、自社の現場の状況に合わせたものを作ると、さらに効果が高まるでしょう。



KYTの進め方~4ラウンド法の紹介~


KYTを進める方法としては、4ラウンド法(4R法)と呼ばれる方法が一般的に知られています。
4つのラウンドを順番に見ていきましょう。

第1ラウンド:潜んでいる危険の把握

第1ラウンドでは、潜在する危険を把握します。
このとき、先ほどのKYTシートを使用したり、実際の職場、作業の様子を参考にしたりしながら、潜在する危険を把握しましょう。
また、その危険がどんなことを引き起こすのかを想定し、チームで共有します。

第1ラウンドでは、出てきたリスクが実際に起こるかどうかは考えず、危険だと思ったことは全て挙げてみましょう。
とにかくたくさんの意見を出すことがポイントです。

第2ラウンド:危険ポイントの理解

第2ラウンドでは、危険ポイントの理解を深めます。
第1ラウンドで出た危険の中から特に危険、重要だと思ったものをいくつか選びます。
選んだものに〇を付け、その中でも最も危険なものには◎を付けます。
このとき、チーム内で意見が割れても多数決はせず、全員が納得するものを導き出すことが大切です。
危険ポイントが決まったら、それらがなぜ危険なのかを話し合いましょう。

第3ラウンド:対策法の検討・立案

第3ラウンドでは、具体的な対策を考えます。
チームのメンバー全員で、危険ポイントを解決するためにどうすれば良いか、具体的な対策案を出し合いましょう。
対策案をいくつか挙げたら、最終的にはチームとしてこうするべきというように、実践できる行動内容を全員で考えます。

第4ラウンド:具体的な行動の設定

第4ラウンドでは、第3ラウンドで出た対策案をもとにチーム内で話し合い、具体的な行動を設定します。
危険ポイントが共有できていても、実際にどう行動すれば良いか決まっていなければ、労働災害は避けられません。

例えば、機械を使うような作業があるとしましょう。
危険:機械が動いている途中で触って、体が巻き込まれる
対策:機械が止まっていることを確認する
行動:機械の電源を見ながら、「電源オフ!ヨシ!」と指差し確認する

など、ここまで具体的に行動に落とし込むことが大切です。



おわりに

KYTは、危険の「K」、予知の「Y」、訓練(トレーニング)の「T」から由来する言葉で、製造業で安全管理のために行われる行動です。
製造業における労働災害は、本来未然に防げたはずの事故が多くの割合を占めています。
そのため、従業員全員でKYTを徹底することが社内全体の安全性の向上につながっていくのです。
方法としては、自社の運用に合わせて、今回紹介した4ラウンド法などを活用することが近見になります。
もしあなたの会社でもKYTを実施されていないのであれば、ぜひこの機会に取り組んでみてはいかがでしょうか。