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製造業における公差とは?押さえておくべきポイントは?
製造業の現場では、「公差」という言葉をよく聞くでしょう。
しかし、この記事を読んでいるということは、あなたは「そもそも公差って何なんだろう?」と思われているのかもしれません。
そこで、この記事では、公差が何を表すものなのかを1から解説し、公差の種類や押さえておきたいポイントを紹介します。
公差とは?
公差とは、製品を加工する際に寸法や形状に許容される誤差の範囲のことを指します。
製品を作る際、指定された寸法からまったくズレがない状態ですべての製品を作り上げるのは現実的に考えると難しいものです。
そこで、許容できる誤差を定めることが一般的で、その差を「公差」と呼びます。
例えば、図面に「100mm」と書かれている場合でも、公差が「±0.5mm」であれば、実際の仕上がりは99.5mm~100.5mmまでなら問題ないという判断になるのです。
公差の重要性
公差の有無は、製品の質や生産体制に大きな影響を与えます。
例えば、公差がなければ、製品同士の接合がうまくいかず、性能や耐久性が低下するといったように、そもそもの製品の品質が損なわれてしまう可能性があるでしょう。
また、公差があっても、その範囲が狭すぎるとなると、製品の製造の難易度が上がり、コストがかかりすぎる場合があります。
そのため、適正な公差に従って製品を生産していくことが求められるのです。
公差の種類
公差は、いくつかの種類に分かれており、ここでは4つの公差の種類を紹介します。
一般公差(普通公差)
図面を支給されたとき、寸法が書かれていても特に公差が指定されていない場合があります。
ただし、このような場合でもまったく公差を気にしなくて良いわけではありません。
製品や加工内容ごとに、守るべき公差の範囲がJIS規格で定められており、これを“一般公差”(または普通公差)と呼びます。
等級が「精級・中級・粗級・極粗級」に分かれており、一般公差を適用する場合は、それぞれの基準に沿って加工を進めていくことが必要です。
寸法公差
寸法公差は、一般公差とは異なり、公差の範囲が指定されているものを指します。
製品に求められる品質が高い場合や設計者の意向が強い場合などは、寸法公差が指定され、加工者はその範囲を超えないように高い精度の加工を行う必要があるのです。
図面に書かれた数字の横に許容される範囲が書かれ「100mm±0.01」といった表記で表現されます。
幾何公差
一般公差や寸法公差が、文字どおり寸法に対する±の差を表すのに対して、幾何公差は形状やそれぞれの位置関係を指示できる公差です。
定められた表記ルールを用いることで、寸法だけでなく、形状の傾き具合や回転体の振れなども規定できるようになります。
より高い精度で設計者の意図を反映できるようになるでしょう。
はめあい公差
穴と軸の精度を図る際に用いられるのが“はめい公差”です。
棒状の軸を穴に通すときに、軸が大きすぎて穴に入らなかったり、逆に軸が小さすぎてスカスカになってしまったりしないかを測定します。
はめ合い検査には“しめしろ”と“すきま”という言葉が使われ、それぞれの基準に照らし合わせながら、公差を出していきます。
公差の計測方法
公差を計測するには、測定器具を用いることが一般的です。
代表的なものとしては、マイクロメーターやノギス、高精度なものだと三次元測定機器などが挙げられます。
これらの測定器具を用いて、製品や部品のサイズや形状を正確に測定し、公差を確認していくのです。
ただし、測定器具によっては、同じ部品でも測定値に差異が生じる場合があります。
そのため、定期的に測定器具の調整や補正を行うことが重要です。
公差設計のポイント
公差設計には、目的や製品の用途に応じた適切な公差を設定することが重要です。
公差設計の目的は、製品や部品の品質を確保しながら、製造コストを最小限に抑えることです。
公差設計の方法としては、以下のようなものがあるので覚えておきましょう。
- 機能面に基づいて公差を設定する方法
- 部品同士の組み合わせや位置関係によって公差を設定する方法
- 製造工程や材料の特性に応じて公差を設定する方法
公差設計は、製品の品質やコストに大きく関わるため、設計段階からの適切な取り組みが求められます。
公差を管理する際のポイント
公差を管理する際は、以下のような点を意識することが重要です。
- 公差の範囲を明確にする
- 製造プロセスで公差を管理する
- 品質検査で公差を確認する
- 公差が許容範囲内かどうかを定期的にチェックする
公差が許容範囲を超えてしまうと、製品の品質が低下するだけでなく、再生産や不良品の処理にコストがかかることにもなるため、確認する体制を整えておきましょう。
おわりに
公差は、製品や部品の品質や信頼性に大きく関わる要素です。
適切な公差設計と公差管理によって、製品の品質を確保しながら、製造コストを最小限に抑えることができます。
製造業で検査担当に配属された方は、公差についての理解を深め、公差管理に積極的に取り組むことが重要です。